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2005'10.24.Mon
祈りの炎
三國無双の陸遜夢です。 周瑜と陸遜の会話。ヒロインは孫策のむすめっこ。
煌煌と夜闇に炎が咲いている。遠くその地は叫びに満ちていた。熱気が風に冷まされてなお、暖かく私の頬を掠めている。
さようなら、顔も知らぬ敵の兵士よ。さようなら命を落とした我が同胞たちよ。
私はここに炎をもって、冥福を祈ろう。
夜を焦がす光、黒鉛の昇る空。星の輝きすら翳ませていた。実際、すべてを焼き尽くすこの業火は清浄なる大気をその煙に汚していたのだろう。

「手柄だな陸遜。」
「周瑜殿」

美周郎と誉れ高い上司は、歓喜とも哀ともつまぬ表情で微笑みを浮かべた。会釈を交わすと、男の視線は空を眺む。その瞳に映る闇は明るい。木と肉の燃える臭いにかすかに眉根を寄せた。憂いを祕める眼のなんと秀麗なことだろう。
風に森がざわめく。

「敵本陣が落ちるのも時間の問題だ。君はに顔でも見せてあげなさい。」
「いいえ、最後まで氣は抜けませんから。」

ふと閉じた瞼の裏に、まだ幼い面影を残す少女の姿が甦った。勝気で勇敢だが、臆病な姫だ、きっと初めて間近にみる戦に怯えているだろう。かつて父と共に戦場を舞った母のように、自らも伴侶たる私の側にと望んだ美しい姫を、私は隣に連れなかった。母から譲り受けた鉄扇を手に、本陣の最奥で、勝利と無事を祈っているのだろう。
血の穢れを知らない細い指を、その赤に染めさせたくなかったのだ。美しく、心優しい娘。それを守りたいと思うのは私のエゴだろうか。

「・・・君の気持ちも判らなくはないな。」

周瑜は普段連れる小喬を今日は伴っていなかった。彼女は城で、夫を亡くして哀しみにくれる姉を慰めている。大喬は彼女の娘、の形ばかりとはいえ、出陣を好くは思わなかったが、黙って送り出した。私と彼女の立場を、自分たちのそれに重ねて視たのだろう。もしくは娘に夫の敵を討たせたかったのか。

「周瑜殿も、やはり小喬様をお連れするのは恐ろしいですか?」
「ああ、あれは私が心配せずとも強いが、もしもを考えると恐ろしくて堪らない。」
は、きっと私を怨んだでしょうね。此度の相手は、父の仇でもあったというのに。」
「あの子も愚かではない。判っているだろう。」

遠くで勝鬨が上がった。あちこちの旗印が呉色に変わってゆく。
夜明けの陽に、未だ静まらぬ炎が目にしみた。

我が花嫁、どうかこの煌きを忘れないで欲しい。幾多の生命と、信条と、誓いを飲み込んだ人の火と、夜の終焉を知らしめす母なる太陽の輝きを。

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