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2005'10.24.Mon
なないろ
ブリチの浮竹さんとルキアのおはなし
なないろ

最近はめっきり日課になってしまった、雨乾堂への小姓役。
ルキアはいつもどおりに4番隊長から新しい薬方を受け取って、彼女の隊長の休む離れへ向かっていた。
周りを池に囲まれた、瀞霊廷の中でも風流で、静寂に包まれた場所。
清浄な空気が彼の病を癒すことを願い、13隊隊首室に宛がわれていた。
隊長、と堂の主の号を呼ぶが、その返事は部屋の中からではなく、その裏から聞こえた。



「朽木こっちだ。こっち。」



堂の端からひらひらと大きな手のひらが見えた。
まったく、昨日血を吐いたばかりだというのに、慣れのせいか彼には病人らしさを感じ得ない。
しかし寝床にいないのはこれも日課の1つになりつつあったため、ルキアは溜息も吐くのを忘れて彼の元へ向かった。
灰銀の長い髪を、紅色の紐で緩く縛り、寝巻きに一枚羽織った男は、豪快な笑みを浮かべる。



「あ、隊長、それは」



浮竹はルキアに見せるように何か棒を吹くと、そこから透明な球体を作り出した。
シャボン玉・と懐かしそうに呟いたルキアに目を細め、隣に座らせる。
大柄な浮竹と、女の中でも小柄なルキアを並べると、親子といっても差し支えなく感じた。
もっとも、浮竹の容姿で、ルキアの年代の子供というのも、違和感を覚えてしまうのだが。
彼はまだまだ現役の女たらしだ。



「シャボン玉だ。暇だったんでな、作った。」

「隊長がですか?」



ルキアは目を丸めて見せたが、それは空に浮かぶしゃぼんにすぐに奪われてしまう。
陽を反射して様々に色彩を変えるしゃぼんは、長い間目にしていなかったせいかルキアの目を引く。



「中々上手いだろう。昔京楽とよく作ったんだ。コツがあってなー」



人差し指を掲げ、そのコツを楽しそうに語る浮竹は、まるで幼い少年のようだ。
何かに夢中になると周りが見えなくなってしまう性質なのだろうな・と、相槌を打ちながら彼の声に耳を傾ける。
あたたかいテナーのそれは、彼女が本能的に求め続けてきた父性そのものなのかもしれなかった。
浮竹の声を聞くだけでほっと安堵する。
ルキアはそれに名をつけることは無かったが、恋より遥か高みの感情だと分かっているうえでなのだろう。
わたしの安い言葉で綴ってはならないのだと。



「学院時代に、そうやってさぼっておられたんですね。」



浮竹は人懐っこく破顔し、声を立てて笑った。
彼のように感情を露に笑む男をがいることを、ルキアはそれまで知らなかった。
恋次は同世代の青年らしく、少し照れの入った笑みをするし、義兄は笑わない。
13番隊の男たちは、誰もが表情豊かだと思った。




「さすが朽木。良く俺のことがわかってるな。」



どう返事をすればよいものか迷っていると、細い棒を手渡される。
先ほど彼の吹いていた筒だ。
先端部分には微かにギザギザが入れてあり、芸が細かい。
京楽と共に戯れの暇つぶしに明け暮れるこの人が目に浮かぶようだ。



「ほら、吹いてみろ。たまには童心に返るのも大切だぞ。」



間接キスとはこういうことなのだろうな・と、ふと考えた。
この男はそんな子供の戯言は気にしないだろうと決着をつけ、それを液体に軽く浸してゆっくり吹いてみる。
二つ作ったところで、棒の膜が割れてしまった。



「・・・隊長はもどりすぎです。」



大きさの違う2つのなないろは、空たかくまで上がって、瞬きをしたその間に消えていた。
綺羅綺羅光る不可思議な球体は、どうしてこうもわたしの胸を締め付けるのか。
ルキアの振り返った過去はもう戻らない。


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09 :43/ OLD
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