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2006'01.19.Thu
赤しか見えない(レノ)
赤しかみえない(レノ)


男と女は酒場に在った。セブンズヘブン。そこは彼らを(主に女を)歓迎している。赤毛の男は女にかまう店主、ティファを疎みながら、楽しそうに笑う女を見ていた。

「クラウドは?」
「仕事。まだ帰って来ないの」

ティファは少し淋しそうな笑みを見せた。子供たちは既に夢の中だ。は大量の酒を注文し、ティファにそれを煽らせた。淋しいときな飲むのが一番だと、微酔いを通り越したが話している。話す、というより絡むといったほうが正しいような気がした。

此処の酒は呑みやすかった。ティファが改良に改良を重ねて醸成したものらしい。レノも、これなら毎日でも呑んでいいなとグラスを傾けた。は彼のことを忘れているのか、ティファとのおしゃべりに夢中だ。どうして女はこうも話し込むのかレノには不思議でならない。

女たちはいろいろなことを話していた。仕事のこと。昔のこと。男のこと。の口から自分の名が零れるたび、レノは細やかな幸せを感じていた。


彼女らの酒盛りが終わるころ、の足は立つのが精一杯になっていた。元よりアルコールに強い方ではないというのに、今日の彼女はどこかおかしかった。ティファがいたからかもしれない。レノは必然的に彼女をおぶって帰ることになった。彼の背にはぐったりとうなだれている。ティファは彼に、送り狼になるなと釘をさした。レノはどうだかなと誤魔化したが、意識のない女をどうこうする趣味は持ち合わせていないので、いらぬ忠告であった。

女はひどく軽い。栄養をきちんと採れるような状態ではないので、それは仕方が無いことだったが。彼女から覗く世界にレノは憂いを覚えた。小さなぬくもりが背中で身動きしている。頬の当たる部分がとても柔らかいと思った。落とすぞと言うが返事はない。少し遅れてイヤイヤと首を振った。女はまだ子供だと思った。時期に二十歳だったか19だったか。彼から見れば確かに子供だが、彼が思ったのは実質的な年齢などではない。情操教育が間違っていたな、と幼くして凶手となった彼女と、そうさせた環境(自分もまた)に嘲笑する。大人びているくせに妙なところで幼い。

「まっかだ…」

は呟いた。レノの髪を指先で弄んでいる。首筋に彼女の吐息がかかった。ぞくりと毛が逆立ったが、気付かれぬよう力を籠めて耐える。

「眠いなら眠ってもいいぞ と」

声は、震えていないだろうか。

「レノが哀しむ…」
「なんだそれ と」

「ティファも淋しい。私も寂しい。レノも寂しいでしょ…」

は呂律が廻らないのか、ひどくたどたどしく喋った。彼女は彼を抱きしめるように腕に力を籠める。酒の匂いと、微かに汗のそれがした。誰かに抱きしめられることなんて、久しぶりであった。まだミッドガルがあったころ、ベッドの上で彼は名も知らぬ女たちによく抱きしめられたが、最近ではそんなこともなくなっていた。おぶっている女からは、香水のきつい香りはしなかった。レノは寂しいという感情が、どのようなものであったか思い出す。それはとても哀しいものだった。虚無に似た空白感。ずっと彼は寂しいままだったのかもしれない。

「まぁ、な」

「一緒にいてあげるよ」

は彼の背に頬を擦り付ける。(まるでネコのようだ)レノは反射的に自分が笑んでいることに気付いた。
彼女は目をあける。夜の闇と廃材の城。



(嗚呼わたしには



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