小説置き場。偏見と偏愛をくどくどかいております。
ごあいさつ
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2006'01.19.Thu
漏洩した最高機密(ツォン)
「ツォンさんっ…風邪ってほんとデスか?」
迂闊であった。
自分の不調を知らせれば、が見舞いに来ることは容易に予想出来たのだが、このときツォンは冷静な判断力に欠けていた。さすがは腐ってもタークスと言ったところか。彼の部屋の比較的厳重なセキュリティをものともせず、スーツ姿の少女は現れた。メールを送ることわずか15分だ。ここから本社まで、道路交通法を犯しまくってなんとかぎりぎり着くか着かぬか微妙なところだった。
「本当だが…早かったな」
半ば呆れて呟くと、は彼の額に自分のそれを重ね、あぁ熱いと嘆いた。
「どうして起きてるんですか、早くベッド行って下さい!わた、わたし、お薬と冷えピタ買って来ますカラ!」
「わかった…」
冷えピタという単語をいつ振りだかに聞いて、ツォンは吹き出しそうになったが、実際立っているのも辛かったので、の導くままに寝室へと向かった。彼女に鍵を渡し、もうピッキングはするなと申し渡す。彼に布団を掛け、ビニールとタオルで即席の氷枕を作り終わると、少女の華奢な後ろ姿が視界から消えた。布団の中は心地よかった。
最近は夜勤やら出張が続き、やっと自分の部屋に帰り着いたらこれだ。調子が悪いと思いつつ、シャワーを浴びてみると汗と一緒に血液まで失ったかと思う程だった。幸い倒れはしなかったが、激務を言い訳に風邪を引くなんてタークスとして情けなく感じた。ぼんやりとしていると、いつの間にか意識が曖昧に霞がかっていく。寝不足も相成って、ツォンはの帰宅を待てず眠りに落ちた。
いい匂いがする。夢の中で彼は灼熱地獄に喘ぎながら、その奥に見える女神様と美味しそうな食べ物の山に手を伸ばした。女神が笑って手招きしている。その笑顔がに良く似ていた。
「?」
「はぁい~なんですカ?此所にいますよ」
ツォンがはっと目を開けると、少女は目の前に座っていた。また、いい匂いもする。
「なれない手料理なども作って見ました。食べれそう?」
「あぁ…貰おう」
上半身を起こすと関節がひどく痛んだ風邪で寝込むなんて何年振りだろうか。に支えられながら起き上がると、額に何か貼られているのに気付いた。懐かしい、冷えピタだ。生温いような冷たいような感覚を覚えた。
「おかゆにたまござけなるものデス」
の料理を食べるのは今回が初めてであった。普段は彼が長年の独身生活で鍛えた料理を振る舞っていたため、その必要がなかったのだ。
「…まぁまぁだな…」
「素直においしいって言いなさいよ!」
「おいしいよ」
ツォンの優しげな微笑みに毒気を抜かれてしまったのか、は頬を赤くして俯く。かわいいじゃないかとツォンは満足げに笑った。
「なにかあったら呼んで下さい。ソファにいますから」
さすがに同じベッドには憚られるのだろう、彼女はリビングにある広いソファを指差した。
「いや、私がそこで寝よう」
「なにいってるんデスか。それじゃわたし来た意味ないデス」
「大丈夫デスよ、わたし意外と強いコですし、明日仕事有給ですから!」
貴重な有給を自分のために投げ出すに、深い愛と慈しみを覚えた。個人主義の彼女が看病のために休みをとるとは思いもしなかったと言うと、頬を膨らませて怒っていた。
(漏洩した最高機密)
迂闊であった。
自分の不調を知らせれば、が見舞いに来ることは容易に予想出来たのだが、このときツォンは冷静な判断力に欠けていた。さすがは腐ってもタークスと言ったところか。彼の部屋の比較的厳重なセキュリティをものともせず、スーツ姿の少女は現れた。メールを送ることわずか15分だ。ここから本社まで、道路交通法を犯しまくってなんとかぎりぎり着くか着かぬか微妙なところだった。
「本当だが…早かったな」
半ば呆れて呟くと、は彼の額に自分のそれを重ね、あぁ熱いと嘆いた。
「どうして起きてるんですか、早くベッド行って下さい!わた、わたし、お薬と冷えピタ買って来ますカラ!」
「わかった…」
冷えピタという単語をいつ振りだかに聞いて、ツォンは吹き出しそうになったが、実際立っているのも辛かったので、の導くままに寝室へと向かった。彼女に鍵を渡し、もうピッキングはするなと申し渡す。彼に布団を掛け、ビニールとタオルで即席の氷枕を作り終わると、少女の華奢な後ろ姿が視界から消えた。布団の中は心地よかった。
最近は夜勤やら出張が続き、やっと自分の部屋に帰り着いたらこれだ。調子が悪いと思いつつ、シャワーを浴びてみると汗と一緒に血液まで失ったかと思う程だった。幸い倒れはしなかったが、激務を言い訳に風邪を引くなんてタークスとして情けなく感じた。ぼんやりとしていると、いつの間にか意識が曖昧に霞がかっていく。寝不足も相成って、ツォンはの帰宅を待てず眠りに落ちた。
いい匂いがする。夢の中で彼は灼熱地獄に喘ぎながら、その奥に見える女神様と美味しそうな食べ物の山に手を伸ばした。女神が笑って手招きしている。その笑顔がに良く似ていた。
「?」
「はぁい~なんですカ?此所にいますよ」
ツォンがはっと目を開けると、少女は目の前に座っていた。また、いい匂いもする。
「なれない手料理なども作って見ました。食べれそう?」
「あぁ…貰おう」
上半身を起こすと関節がひどく痛んだ風邪で寝込むなんて何年振りだろうか。に支えられながら起き上がると、額に何か貼られているのに気付いた。懐かしい、冷えピタだ。生温いような冷たいような感覚を覚えた。
「おかゆにたまござけなるものデス」
の料理を食べるのは今回が初めてであった。普段は彼が長年の独身生活で鍛えた料理を振る舞っていたため、その必要がなかったのだ。
「…まぁまぁだな…」
「素直においしいって言いなさいよ!」
「おいしいよ」
ツォンの優しげな微笑みに毒気を抜かれてしまったのか、は頬を赤くして俯く。かわいいじゃないかとツォンは満足げに笑った。
「なにかあったら呼んで下さい。ソファにいますから」
さすがに同じベッドには憚られるのだろう、彼女はリビングにある広いソファを指差した。
「いや、私がそこで寝よう」
「なにいってるんデスか。それじゃわたし来た意味ないデス」
「大丈夫デスよ、わたし意外と強いコですし、明日仕事有給ですから!」
貴重な有給を自分のために投げ出すに、深い愛と慈しみを覚えた。個人主義の彼女が看病のために休みをとるとは思いもしなかったと言うと、頬を膨らませて怒っていた。
(漏洩した最高機密)
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