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2006'01.27.Fri
ピロートーク(レノ)
ピロートーク(レノ)
タークスは忙しいんだぞと。なはなし



「レノ、顔色悪いよ」



はソファを占領して横たわる男の仰向けになった顔を見詰めて言った。男は閉じていた目をあけることなく、3日徹夜だそと独特の言い回しで返事を返す。

3日。3日も寝ていないのか。彼女はアポもなく突然現れて寝に入った彼を追い出すつもりでいたが、ベッドで寝てもいいよと言ってしまうほど彼に同情した。

何があって睡眠を取れなかったのかは、聞いてはいけないことだと思った。仕事柄、彼は勿論彼女にも話せないことは山程ある。擦れ違いこそ続く日々だが、空いた時間に少しでもと徹夜明けに自分を訪ねてくる恋人を、追い出してしまえば女の名が廃ってしまうし、またそれをするほど人でなしでもなかった。

は彼にブランケットを掛けてやり、髪を撫でた。赤髪が皮膚の上で艶と輝いた。柔らかくはない赤は、数日前に梳いたときより傷んだように感じられる。もっとも、彼女の記憶は男に抱かれながら無意識に彼にしがみついたときのもので、大してあてにはあらなかった。

レノは少年のように無防備な寝顔を見せ、その意識を深い混沌のなかに落としていた。身体を丸めた仕種はまるで胎児のようだ。そういえば彼は母親の話をしないと思い当たる。この年になってまで母親が恋しいとは言わないが、彼女や他の仕事仲間は時折酒の席で家族の話を聞かせてくれた。こんなご時世だ、彼女然りろくな話でないことが大半であったが、それでも彼らも人の子なのだと認識させられる。如かしレノはそれがない分、時折彼女の中で生身の人間として認め得る許容を超えてしまうことがあった。

は認めたがらないが、その瞬間、確かに彼女はレノを恐れているのだった。彼が残酷過ぎるまでに任務を遂行するその姿に妙な距離を覚える。



「悪い、よく寝た」
「3日徹夜だったなら仕方ないよ。もうそんな若くないんだし、不健康な生活してるんだし、控えてね」
「これでも控えてるほうだそと」



レノは起き抜けに、買っていた缶ビールを一缶明けると、青白かった頬が人間らしい色合いを取り戻した。アルコォルの匂いが部屋に漂う。彼にとってはこの程度のアルコォルはジュースみたいなものなのだろう、しっかりとし足取りで立ち上がると、シャワー貸してねとバスルームに消えて行った。レノの残り香の残るブランケットに身を包んでみた。

ヒーターを付けるには暖かく、如かし何も無いのでは寒い室温に、彼の体温をぬるく残したそれは心地好かった。

レノの匂いがする。は安心感に包まれた心地に襲われ、うとうと瞼を下ろした。彼女はレノを恐れていたが、同時に深く信頼し愛していた。愛と言う感情はいまだに漠然としか理解出来ていなかったが、もし存在するのならばこの感情をさすのだろうと思っている。

彼はを困らせるようなことや嫌がることや妙なセックスをするが、彼女が心底拒否したいと思うことは絶対にしない。その絶妙なさじ加減が彼の魅力であり彼を憎めない所以だった。

は腹を空かせているだろう彼と自分のために夕飯作りに取り掛かった。簡単な賄い料理でもレノは喜んで食べてくれるからうれしい。

シャワーを浴びて石鹸の匂いのする彼と安い葡萄酒を交わしながら夕食をとる。レノは彼の印象よりよっぽど食事の仕方が綺麗で、ふとそこに彼の語らない母親の姿を見たと思った。



「食べ方、レノ綺麗よね」
「母親が綺麗だったんだぞと」
「レノから初めて聞いたな。いつも自分のことあんまり話してくれないから、そこらへん不思議だった」



に笑い掛けると、今夜はいっぱい話してやるよと囁いた。


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