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2006'02.05.Sun
薔薇園と神の戯れ
薔薇園と神の戯れ
キララクをベースとしたラクスとイザーク。
運命後、評議会議長となったラクスと側近イザークの話。



 ラクスは新しく薔薇園を造った。昔、父親と暮らしたあの場所にキラと二人で穏やかな日々を送っている。いつかの日に荒らされてしまった庭も、以前のように華華を咲かせていた。

疵は癒えた。少なくとも目に見える傷は。

彼女と、またもう一人の女神が平和の指揮をとり、お互いの共存を願うことで世界は安寧を手に入れた。女神らは戦友であり義姉妹であった。キラヤマトという仲立ちを経て、両国家は隔たりを薄くした。と、イザークジュールは思っている。

彼の責務は議長の補佐である。美しく聡明なる佳人を支え、時には防壁となる誇り高き責。彼は彼女と英雄の居住を訪ねた。


「議長、お迎えにあがりました」
「あら、もうそんな時間でしたか。ごめんなさいイザーク、少しお待ちになってくださいね」


 キラ、と好い人の名を呼ぶ柔らかい声が館に透る。

細やかなやりとりの後、訪れた沈黙に彼は溜め息を吐く。触れるほどの軽い口付けの気配。ゆるい螺旋階段の上から、彼女の上品な足音が聞こえた。


 ラクスの行う政治は実に見事であった。幼い頃から間近に父親の理想と現実を敏感に感じ、また自身もその行き着く先の見えない願いに思考を巡らせていたからこそ、出来ることなのだろう。イザークは彼女を敬愛していた。能力もさることながら、その人間性は見ぬ海のようであり、あの砂漠の悠久のようだと感じている。

人々は必ずラクスを神格化せんとするが、それも仕様のないことに思われた。彼女は人々の神だ。

まだ少女であったころでさえ、ラクスは既にラクスクラインとして完成していた。勿論それはイザークの思う彼女の姿であったのだが、世間一般は元より彼女にごく近しい者たちのラクスクライン像とそう大差ないことだろう。

唯一、キラヤマトのみが彼女を彼女として接し、ラクスクラインをではなく彼女自身の魂を愛しているのだろう。


吹抜けの天井をぼんやりと眺めながら、やっとイザークは彼女の思想に触れた気がした。ガラスを隔てて彼女の薔薇園が見える。染まらない白と称される白薔薇に紛れて深紅のそれが咲いている。完璧の欠如。


「お待たせしましたわね、ありがとうございます」
「いいえ、」


イザークの視線に気付いたラクスはふっと淡い微笑みを見せた。


「綺麗な薔薇園ですでしょう?キラと、二人で少しずつ育てておりましたの。ホワイトシンフォニィのものをいただきましたから、総て白薔薇なのですが、あまりに静かだと思っておりましたら、キラが、あの紅薔薇を植えてくれましたの」
「少し、奇妙ですね。貴女は白を乱されるのはお嫌いだと思っておりました」
「ええ、でも、赦されたように思われて、わたくしはとても感謝しておりますのよ」


 黒塗りの車は滑らかな路を走り、イザークは側目に湖を捕らえた。光を波間に輝かせる穏やかな広がりは、こんなにも美しいというのに、造られたものでしかない。所詮、彼等は人工物のみにその美を認めるのだ。

因ってラクスクラインはこの世界のなによりも美しく気高い。
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